JAPANとALBERTAから、JAPANAB(じゃぱなび)と名付けられた無料タウン情報誌。
アルバータ州在住の輝く日本人に焦点を当て、面白く、役立つ情報を発信中。
季刊誌「Japanab」は、2022年1月発行の「Japanab vol.39 2022 January」より、1月と7月の年2回刊誌に刊行サイクルを変更いたしました。
引き続き変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2019 April - 被害者の体験談 クレジットカード不正作成

 ある日突然、「あなたが数年前にクレジットカードを使って何十万ドルもの借金をし、返済せずに踏み倒した記録があります。金利が重なって負債額は倍になっています。このためクレジットスコアは非常に低く、どこの銀行も融資は不可能です。」と言われたら?
 実際に被害に遭ったのはアルバータ在住の日本人の方。誰かに個人情報を盗まれ、本人になりすまして不正に作ったクレジットカードを使い込まれる被害に3年前に遭っていたことが、たまたま住宅ローン融資の相談中に発覚しました。クレジットスコアとは個人信用情報、つまりお金を貸したらきちんと返済してくれるかの信用度を数値化したもの。怒りと悲しみ、そして自分のクレジットスコアがきちんと修正されるのかわからない不安から、眠れない日々が続いたと言います。このなりすまし犯罪の被害発覚から解決までの流れを追ってみましょう。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

  1. 住宅ローンの審査の過程で、身に覚えのないクレジットカード借金が浮上。過去にクレジットカード不正作成の被害に遭い、誤ったクレジットスコアが付いていることを知る。
  2. EQUIFAXというクレジットビューロー(個人信用情報機関)に電話し、間違って記録されている情報の修正を依頼。EQUIFAXは勝手に変更されていた過去の住所や電話番号、勤め先の記録に関してはすぐ修正してくれたが、借金にまつわるカード使用履歴はクレジットカード会社が信用情報に誤りがあることを認めない限り修正できないと主張。最終的には自分でクレジットカードを発行した銀行に連絡取るように指示されるなど、EQUIFAXとのやり取りだけで1カ月が経過する。
  3. クレジットカード発行元の銀行支店に出向き相談。不正があったことや、個人信用情報の食い違い点などを伝えるが、その借金は数年前のもので既に債権回収会社に委託されているので、債権回収会社に直接連絡するように指示を受ける。また不正にカードが作成されたのなら警察に届け出るように勧められ、これに従う。
  4. 4. 債権回収会社に連絡すると、「今ならまだ間に合うから返済プランを考えれば?」と言われる始末。まるでカードローンを踏み倒したのがこちらであるかのような対応を受ける。このカードは不正に作られたものだと説明すると、調査のために警察の被害届のコピーを提出するよう指示されたが、提出後は音沙汰なく埒があかないまま時間が過ぎる。
  5. ソーシャルインシュランスナンバー(SIN)が盗まれた可能性を考慮して、サービスカナダにSIN変更の相談に行く。「不正なのだから債権回収会社に負債を支払う必要はない。埒があかなく困っているなら、グーグルで『クレジットカウンセラー』を検索してそこに相談するように」と勧められる。
  6. クレジットカウンセラー(非営利団体※)は借金返済に苦しむ人の手助けを主に行っているようだったが、近所に1カ所見つけ、藁にもすがる思いで相談しに行ったところ、債権回収会社との交渉だけではなく銀行と再度交渉すること、そして銀行窓口での対応が不十分であれば、より上層部に話をエスカレートさせるか、銀行のオンブズマン(苦情処理・問題解決の窓口)にクレームするようアドバイスをもらう。
    ※https://www.nomoredebts.org/canada/alberta/calgary/credit-counselling.html
  7. クレジットカウンセラーに案内された通り、カードを発行した銀行のクレジットカード部門のトップ(Office of the Head)に苦情のメッセージを残す。1週間後、銀行のResolutions Specialistから連絡があり、Fraud Declaration Formの記入と、警察の被害届番号、自分の署名の入った政府発行の身分証明書2点、不正作成されたカードの申請約2カ月前からカード発行2カ月後のまでの住所証明の書類を提出するよう指示される。
  8. 指示された書類提出から2日後、銀行側が誤った個人情報の記載を認め、不正作成されたクレジットカードの情報を消去する手続き行うこと約束される。クレジットビューローに対しても、信用情報修正依頼の書類を送ってもらう。
  9. 銀行の指示通り約1カ月半経過した時点で、クレジットビューローに情報が修正されたかどうか確認の連絡を入れるが未修正のまま。さらに2週間待ってやっと修正を確認して一件落着。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 厄介なのは、本当は自分が借金をして踏み倒したのに「自分が使い込んだのではなく、クレジットカード詐欺に遭った」と嘘をつく人がいること。詐欺に遭ったことを訴えても、カード会社側は「はいそうですか」と速やかに調査を進めてくれる訳ではなく、この方の場合いろんな部署をたらい回しにされて、無実を立証するのに2ヵ月以上かかったそうです。
 自分の信用情報に間違った情報が混入することは稀な出来事ではありません。個人情報は違うにも関わらず、同姓同名者の情報が混ざってしまうケースでは、クレジットビューローに説明し、必要書類を送れば直してもらえます。全く違う名前でも、何らのミスにより情報が混入することは起こり得ます。
 一番怖いのは今回のケースのように、自分の個人情報が流出し、誰かに自分名義のクレジットカードを不正に作られてしまうことです。住所を変えて申請されると、カードの請求書すら届かないので犯罪の被害に遭っている事すら気づきません。誰にでも起こり得るクレジットカード詐欺被害を防ぐには、クレジットビューローのウエブサイトで自分のクレジットスコアを定期的に確認すると良いでしょう。
 カナダのクレジットビューローは以下の2箇所。どちらでも情報の確認は可能です。
Equifax www.Equifax.ca
TransUnion www.transunion.ca
 なお自らのクレジットスコアを確認しても、スコアに影響はありません。無料トライアルや、毎月定額を払い継続的にモニターする方法があります。被害に遭ってから時間が経過しすぎると潔白を証明する書類の入手が困難になる恐れがあるため、早期発見が大切です。





0 件のコメント:

コメントを投稿