2013年夏、たおやかでシャイな一人のバレエダンサーと出会った。アルバータバレエ団の先輩ダンサーである服部有吉や近藤麻理子と共演出来る事に胸躍らせ、不安と期待に目を輝かせていた。あれから4年。あどけない少女のようだった彼女はサナギから美しい蝶に変身し、アルバータバレエ団の中心ダンサーの一人と言われるまでに登りつめた。満を持して、美しく穏やかな中にも強靭な意志を持つバレエダンサー、佐々木瑠菜さんにインタビューを試みた。
―バレエを始めたきっかけ
6歳の時に、一番仲のよかった友達が近所で通っていたバレエ教室に通い始めました。理由はごく単純で、その友達のバレリーナの衣装やお化粧がかわいかったから。今でもいろんな舞台コスチュームを見たりするのが大好きです。高校2年の時に出場したコンクールでヒューストンバレエスクールの奨学金を頂けることになり2年間留学しました。それまではただただ好きでバレエを続けていましたが、「バレエダンサーになろう」と本格的に決心したのはこの時です。その後ボストンバレエスクールにも1年間在籍。海外経験もなかったし、英語も学校で習っただけでしたが、不思議とあまり不安はありませんでした。むしろ一日中バレエができるなんて、自分はなんて幸せなんだろうと思っていました。そして、「一日中バレエができて幸せだなあ」と思うのは今も変わりません。
―ダンサーの素質
ダンサーには生まれつき天性の踊りの才能に恵まれた人たちがいますが、私は自分がその一人だと思ったことはありません。すらっと足のきれいな、体型に恵まれた人たちと比べても、自分にはハンデがあると思っています。でも才能や体型はバレエの要素のほんの一部で、それが欠けていても別の面で補う術、例えば見る人を惹きつけるカリスマ性だったり、誰よりも早く振付けを覚える記憶力だったりを自分に見いだすことのできるダンサーが、最終的に良い役や仕事のチャンスを勝ち取っていきます。私も誰かが怪我で出られなくなったりした時はいつでも舞台に立てるように、できるだけ多くの役の振付を覚えるようにしていて、そうして掴んだチャンスが次につながったことが何度もあります。今でも自分がすごくやりたい役があったら、配役が違う人になっても振付を覚えちゃったりします。気後れして周りを見回していてはだめで、いつでもチャンスを狙うということが、強いて言えばダンサーの素質かなと思います。
―バレエを辞めたいと思ったことはありますか?
もう何度もあります(笑)。思うように踊れなかったり、自分の公演を振り返って「へたくそだなあ、どうしてもっとうまくできないんだろう。向いてないのかな」と今でもよく落ち込んだりします。でも練習がつらいとか体力的にしんどいとか、そういうネガティブな理由でやめたいと思ったことは一度もありません。根が負けず嫌いなので、むしろ課されたものが大きいと逆に燃えるようなところはあります。一人で落ち込むことはありますが、‘できない’ところを誰にも見せたくなくて、週末密かに公演の研究をしたりします。結局休みの日もバレエのことを考えていたということは多いです。大好きなんですよね、バレエが。踊るのも、誰かの踊りを見るのも、今でもわくわくします。理想とするダンサーは、私の大好きな英国ロイヤルバレエ団出身のアレッサンドラ・フェリとかアリーナ・コジョカルとか、ただ踊りが素晴らしいだけではなくて、感情の表現が演技の域というか、舞台の上で女優のように見えるバレエダンサーに憧れます。私も経験を積んで、そういった繊細な感情表現ができるようになりたいと思っています。
―アルバータバレエ団の魅力
日本ではバレエ公演というと、ハイソな文化人のための敷居の高いものというイメージがありますが、こちらに来てすごくいいなと思うのはお子さん連れの方が来てくれたり、カップルがデートで来てくれたり、バレエ経験のない人でもミュージカルを見るように気軽に劇場に足を運んでくれて、バレエ自体がとても身近な存在であるところです。アルバータバレエ団には現在約30人のダンサーが所属していますが、そのうち私を含めて4人が日本人です。ジャパナビ読者の方で日本ではバレエに縁がなかったという方も、これを機にぜひ足を運んで頂ければと思います。私の次回出演予定公演はカナダ建国150周年とアルバータバレエ団創立50周年を記念した「Our Canada」という作品です(カルガリー:5月4日~6日、エドモントン:同12・13日)。皆さんお誘い合わせの上ぜひ私たちの踊りを見に来て下さい。
服部有吉(振付家/バレエダンサー)から見る佐々木瑠菜
佐々木瑠菜さんは小柄ですが、力強い動きをするダンサーです。体も心も芯が強く、一緒に舞台を共有していて安心できる。振付家の視点から言っても、佐々木さんのようにブレの少ないダンサーは良い意味でほっておけるので(笑)とても助かる存在です。また彼女の目力の強さに僕はいつも感心します。お客様の心を毎公演間違いなく鷲掴みにしてしまう。これからは年齢と共にもっと表現に深みが出てくることでしょう。バレエもコンテンポラリーも出来るので、どう進化していくか想像がつかないだけに余計今後が楽しみです。
佐々木瑠菜(ささき るな)
プロフィール
神奈川県相模原市生まれ。6歳からバレエを始める。高校2年時にヒューストンバレエスクールに全額奨学生として2年留学、その後ボストンバレエスクールに1年留学し、2013年からアルバータバレエ団に在籍。代表作『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役、『不思議の国のアリス』のアリス役。
―バレエを始めたきっかけ
6歳の時に、一番仲のよかった友達が近所で通っていたバレエ教室に通い始めました。理由はごく単純で、その友達のバレリーナの衣装やお化粧がかわいかったから。今でもいろんな舞台コスチュームを見たりするのが大好きです。高校2年の時に出場したコンクールでヒューストンバレエスクールの奨学金を頂けることになり2年間留学しました。それまではただただ好きでバレエを続けていましたが、「バレエダンサーになろう」と本格的に決心したのはこの時です。その後ボストンバレエスクールにも1年間在籍。海外経験もなかったし、英語も学校で習っただけでしたが、不思議とあまり不安はありませんでした。むしろ一日中バレエができるなんて、自分はなんて幸せなんだろうと思っていました。そして、「一日中バレエができて幸せだなあ」と思うのは今も変わりません。
―ダンサーの素質
ダンサーには生まれつき天性の踊りの才能に恵まれた人たちがいますが、私は自分がその一人だと思ったことはありません。すらっと足のきれいな、体型に恵まれた人たちと比べても、自分にはハンデがあると思っています。でも才能や体型はバレエの要素のほんの一部で、それが欠けていても別の面で補う術、例えば見る人を惹きつけるカリスマ性だったり、誰よりも早く振付けを覚える記憶力だったりを自分に見いだすことのできるダンサーが、最終的に良い役や仕事のチャンスを勝ち取っていきます。私も誰かが怪我で出られなくなったりした時はいつでも舞台に立てるように、できるだけ多くの役の振付を覚えるようにしていて、そうして掴んだチャンスが次につながったことが何度もあります。今でも自分がすごくやりたい役があったら、配役が違う人になっても振付を覚えちゃったりします。気後れして周りを見回していてはだめで、いつでもチャンスを狙うということが、強いて言えばダンサーの素質かなと思います。
―バレエを辞めたいと思ったことはありますか?
もう何度もあります(笑)。思うように踊れなかったり、自分の公演を振り返って「へたくそだなあ、どうしてもっとうまくできないんだろう。向いてないのかな」と今でもよく落ち込んだりします。でも練習がつらいとか体力的にしんどいとか、そういうネガティブな理由でやめたいと思ったことは一度もありません。根が負けず嫌いなので、むしろ課されたものが大きいと逆に燃えるようなところはあります。一人で落ち込むことはありますが、‘できない’ところを誰にも見せたくなくて、週末密かに公演の研究をしたりします。結局休みの日もバレエのことを考えていたということは多いです。大好きなんですよね、バレエが。踊るのも、誰かの踊りを見るのも、今でもわくわくします。理想とするダンサーは、私の大好きな英国ロイヤルバレエ団出身のアレッサンドラ・フェリとかアリーナ・コジョカルとか、ただ踊りが素晴らしいだけではなくて、感情の表現が演技の域というか、舞台の上で女優のように見えるバレエダンサーに憧れます。私も経験を積んで、そういった繊細な感情表現ができるようになりたいと思っています。
―アルバータバレエ団の魅力
日本ではバレエ公演というと、ハイソな文化人のための敷居の高いものというイメージがありますが、こちらに来てすごくいいなと思うのはお子さん連れの方が来てくれたり、カップルがデートで来てくれたり、バレエ経験のない人でもミュージカルを見るように気軽に劇場に足を運んでくれて、バレエ自体がとても身近な存在であるところです。アルバータバレエ団には現在約30人のダンサーが所属していますが、そのうち私を含めて4人が日本人です。ジャパナビ読者の方で日本ではバレエに縁がなかったという方も、これを機にぜひ足を運んで頂ければと思います。私の次回出演予定公演はカナダ建国150周年とアルバータバレエ団創立50周年を記念した「Our Canada」という作品です(カルガリー:5月4日~6日、エドモントン:同12・13日)。皆さんお誘い合わせの上ぜひ私たちの踊りを見に来て下さい。
服部有吉(振付家/バレエダンサー)から見る佐々木瑠菜
佐々木瑠菜さんは小柄ですが、力強い動きをするダンサーです。体も心も芯が強く、一緒に舞台を共有していて安心できる。振付家の視点から言っても、佐々木さんのようにブレの少ないダンサーは良い意味でほっておけるので(笑)とても助かる存在です。また彼女の目力の強さに僕はいつも感心します。お客様の心を毎公演間違いなく鷲掴みにしてしまう。これからは年齢と共にもっと表現に深みが出てくることでしょう。バレエもコンテンポラリーも出来るので、どう進化していくか想像がつかないだけに余計今後が楽しみです。
インタビュアー ジャパナビ編集部
佐々木瑠菜(ささき るな)
プロフィール
神奈川県相模原市生まれ。6歳からバレエを始める。高校2年時にヒューストンバレエスクールに全額奨学生として2年留学、その後ボストンバレエスクールに1年留学し、2013年からアルバータバレエ団に在籍。代表作『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役、『不思議の国のアリス』のアリス役。
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