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2017 April - 知っておきたいカナダ年金制度の基礎

 日本の国民年金にあたるカナダペンションプラン(Canada Pension Plan、以下CPP)はカナダで雇用主あるいは自営業を通して保険料を納入した人が受給の対象です。ここ数年でCPPの制度が改正されましたので、サービスカナダ(www.servicecanada.gc.ca)に掲載されている最新の情報をまとめてみました。
 一度でもCPP保険料を支払った60歳以上の人がCPP年金の受給対象となります。CPPは原則として65歳が受給開始年齢ですが、60〜64歳の間でも手続きを行えば繰り上げて受給することができます。また受け取りを最大で70歳まで引き延ばすことも可能です。
 雇用者の場合、雇用主と雇用者(年金加入者)が雇用者の所得の4.95%(2016年)をそれぞれ納入する事が義務付けられています。自営業の場合は所得 x 4.95% x 2 を納付します。ただし、雇用者も自営業の方も年間所得が$3,500以下の場合は保険料が免除され、$51,400 (2016年)を超過した分には保険料はかかりません。
 さて、気になる受給額はCPP保険料の納入額や期間などにより様々です。月々の受給額は65歳時点の額を基準とし、60〜65歳の間に早めに受給を始める場合はその基準額から一定額が引かれ、逆に65〜70歳の間に受給を開始する場合は基準額に一定額が足されます。つまり月々の受給額で見ると、60歳で受給を開始する場合が最も低く、70歳で受給を開始した場合が最も高いという事です。ちなみに受給額はカナダの消費者物価指数に合わせて増額されます。
 2016年を例に具体的に見てみましょう。繰り上げで受給する場合、0.6% x 65歳になるまでの期間(月数)が月々の減額です。例えば65歳での受給月額が$1,000の方が64歳で受給を開始した場合、$1,000 x 0.6% x 12カ月 =$72の減額なので、月々の受給金額は$928となります。反対に65歳を過ぎてから受給する場合は、月々の受給金額は0.7%x 65歳を過ぎた期間(月数)で計算されます。65歳での受給額が$1,000/月の方が66歳で受給を開始すると、$1,000 x 0.7% x 12カ月=$84が上乗せされ、月々の受給額は$1,084になる計算です。従って、受給開始のタイミングによっては受給月額が最大で36%減少、最高で42%増加するということです。
 ところで、2012年の制度改正により、退職せずにCPPの繰り上げ受給ができるようになったのはご存知ですか?但し60〜65歳の間に受給を開始し、かつ就労されている方にはCPP保険料の納入が義務付けられています。そして65〜70歳の間でCPPを受給しながら働いている方については、任意で保険料の停止ができます。CPPを受給中に保険料を納入された方には「Post-retirement Benefit」という別枠の年金がCPP受給額の1/40 (2.5%)x納入期間(年数)のレートで支払われます。
 実際のご自身の受給額を知りたい方は「CPP Statement of Contributions」という書類をご覧ください。上記のサービスカナダにて「My Service Canada Account」というオンラインサービスを設定すると情報が得られます。また「いつ受給を開始するのが理想的か」というご質問をよく耳にしますが、これはそれぞれの方の経済状況によるので一概には言えません。企業年金に加入されている方はその支給条件もよくお調べになり、またRRSPの状況やご自身の健康状態、生活費の変化なども考慮に入れ慎重にお考え下さい。経験者や専門家に意見を聞かれるのも良いでしょう。
 CPPの受給は自動的に開始されるものではありません。開始希望日の一年前にサービスカナダで受給手続きをする必要があります。70歳を超えて手続きが遅れた場合、受給額に損失がでる恐れがありますのでお気をつけ下さい。以上CPPの「retirement benefit」について述べましたが、CPPには障害年金や遺族年金というのもありますので、機会がありましたら上記のウェブサイトをご参照ください。




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