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2019 July - 終活とエンディングノート~日本で暮らす親のために~

 最近、日本では終活がブームとなっています。終活とは人生の終わりを迎えるための準備をしておく活動です。もともとは、自分が死んだとき、子どもや周囲の人に迷惑をかけないようにと始まった活動ですが、終活を行うことによって、自分の人生を見つめなおし、今後の人生をよりよく生きることができるという意味もあることがわかってきました。終活を始めると前向きになり元気になるのです。
1、終活って何をするの?
 自分らしい人生の終わりを迎えるための準備として、大まかに以下のようなことが挙げられます。
・身の回りの整理、断捨離
・エンディングノートや遺言書の作成
・介護を受ける準備
・終末期医療の意思表示
・葬儀やお墓の準備
・お金の計画と整理

2、エンディングノート
 そろそろ終活を始めたい。そう思っても、何から手をつけたらいいかわからない方も多いようです。そのような場合は、まずエンディングノートを書くことをおすすめしています。エンディングノートは日本の書店に行くと並んでいます。とりあえず1冊購入してみましょう。オンラインでダウンロードも可能なようです。エンディングノートに記入する内容は主に以下。
・自分の基本情報
・身の回りのこと
・自分の資産
・家族や友人
・介護と医療
・葬儀やお墓
 自分の基本情報として、戸籍や免許証番号など個人情報の他、生まれてから今までの自分史についても書きます。身の回りのことは、趣味や習い事、かかりつけの病院、飲んでいるお薬、利用しているサービス、ペットのことなど。また、利用しているSNSやパソコンの暗証番号などデジタルに関することも書いておくことをおすすめします。
 自分の資産については、預貯金や不動産など自分が持っているあらゆる資産を書きます。保険や年金、貴金属などもです。遺言書を書く前に自分の資産を把握することにも役に立ちます。そして遺言書を作成した場合はその存在や保管場所についても書いておきましょう。
 家族や友人については、自分にもしものことがあった場合にスムーズに連絡してもらえるようにまとめておきます。介護や医療については、希望する介護施設や誰に面倒をみてもらいたいか、病名や余命の告知をしてほしいか、延命治療はしてほしいかなど、思いや希望を書きます。葬儀やお墓については、加入している互助会、宗教、お葬式の内容、使ってほしい遺影、お墓の有無などを書き、残された家族が迷いなくスムーズに見送ることができるようにしておきます。
 エンディングノートの記入のポイントとして、自分がどうしてほしいかという希望を今のうちに明確にすることで後々家族が困らないようにするという目的を念頭に置いて書いてみてください。実際、あなたが余命を宣告された時に、家族は本人に「余命宣告されたいか?」など聞けないし、亡くなった後に本人が誰に連絡してほしかったのかを知るすべはありません。
 エンディングノートを書くことは自分の最期と向き合うことになるため、気が重たくなるかもしれません。でも実際エンディングノートを書き出してみると、自分の人生を振り返ることで、やりたいことを思い出したり、会いたい人に会いたくなったりして、それを行動に移したいという気持ちが湧いてきます。そして今後どのように楽しく悔いのない人生を送れるかを考える機会になり、生きる気力が新たに湧いてきます。
 またエンディングノートを書くことで、身の回りの整理など終活の方法が具体的にわかり、計画的に終活を進めることができるのです。終活を進めていくと、今後の人生をより良く生きるためには、いくらお金がいつ必要なのかを把握することができます。現在の資産がいくらあって今後の年金などの収入がいくらかもわかるので、計画的にお金を使うことができます。

3、家族が遠くにいる場合
 将来の不安をなくし、安心して人生を楽しむために行う終活ですが、家族が海外など遠くに住んでいる場合、あなたにもしものことがあっても家族はすぐに駆け付けることができません。入院や介護施設に入るときに、手続き等で遠くの家族にわざわざ帰ってきてもらわなくてはならないという不安が出てきます。また認知症など、判断能力が低下してしまうと、個別の契約が結べなくなり、預金が凍結して引き出せなくなります。
 判断能力が低下した人を支援する制度として「成年後見制度」があります。後見人は本人に代わり財産を管理したり、治療・介護契約の締結ができたりします。成年後見制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」からなり、法定後見制度はさらに後見、保佐、補助の3つに分けることができます。任意後見制度は本人の判断能力が衰える前から利用できますが、法定後見は判断能力が衰えた後でないと利用できません。
 法定成年後見制度では家庭裁判所が後見人を決めるので、家族が後見人になれるとは限らず、知らない弁護士、司法書士などが選任されることも多いです。任意後見制度で元気な今のうちに、自分の意志や希望をよく知る、信頼できる人に後見人を任せるという任意後見契約を結んでおくことをお勧めします。
 ただ、任意後見契約は判断能力が衰えてから初めて効力が発揮するものであって、判断能力が衰えたわけではないが、さまざまな郵便物の何が必要でどれを捨てていいかわからない、銀行取引や市役所での手続きがよくわからないなど日常生活で困ることを支援してもらいたい場合や、死亡した時の病院からの引き取りや事務手続き、葬儀の段取りなどの死後事務の支援などは、任意後見人は対応できません。近くに家族がいれば家族が支援できることですが、それができない場合、信頼できる人や法人と「生前事務委任契約」と「死後事務委任契約」を任意後見契約とセットで結んでおくことをお勧めします。
 また賃貸住宅や介護施設への入居の際、身元保証人が必要だが近くに家族がいない場合も困りますよね。身元保証人サービスを行っている会社もありますので、契約しておくと安心です。

4、まとめ
 自分の過去を振り返り、現在を見つめなおし、将来の不安に備える終活。ひとりでできないのであれば、終活カウンセラーなどの専門家と一緒にすすめていくこともできます。自分も家族も安心して今後の人生を前向きに生きていくために、ぜひ終活を始めてでみてはいかがでしょうか。

生川 奈美子 (なるかわなみこ)
株式会社アスト 代表取締役
マネーじゅく@三重 代表
一般社団法人みえ円満相続支援センター 理事
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
終活カウンセラー
住宅ローンアドバイザー
ホームページ゙http://www.asut.jp/
 三重県四日市市在住。結婚、出産、子育てをしながら、大手生命保険会社に12年勤務。2003年4月ファイナンシャルプランナーとして独立。2007年に法人化。現在、「わくわくの明日と共に」をモットーに、学校や地域団体向けの各種マネー講座の講師として活動中。また、子育て世代、リタイア世代のライフプラン作成や家計相談、相続相談などのコンサルタントとしても活動。最近では、自らのホームヘルパー経験を生かし、余命宣告された父と共に歩んだ経験をもとに語ることで、自分らしく安心して楽しく生きるためのエンディングノート活用の普及に力を入れ、終活コーディネーターとしても活動している。2015年度金融知識普及功労者として金融庁・日本銀行から表彰を受ける。




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