JAPANとALBERTAから、JAPANAB(じゃぱなび)と名付けられた無料タウン情報誌。
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1月1日、4月1日、7月1日、10月1日に発行される季刊誌です!

2020 July - 新型コロナウイルスについて知っておきたいこと

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、アルバータ州政府が緊急事態宣言を出したのは3月17日のこと。学校休校や外出自粛要請のため、多くのアルバータ州民が在宅勤務を始め、一日の大半を自宅で過ごす毎日が始まった。その後アルバータ州内では4月末から5月初旬にかけて新規感染者数がピークに達した模様で、5月14日からは州政府による段階的な規制緩和が始まっている。
 そのような中、カルガリー日系人協会(Calgary Japanese Community Association)とエドモントン日本文化協会(Edmonton Japanese Community Association)はそれぞれ5月末にコロナウイルスに関するウェブセミナーを主催した。講演したのはアルバータ大学に勤務する医学博士の館野透さん。ジャパナビ2019年7月号の巻頭インタビューにご登場いただいたこともある、内分泌代謝科専門医として患者を診察する傍ら、ご自身の研究室で下垂体腫瘍に対する新治療法の研究に取り組まれている方だ。
 館野さんは感染症を含む内科疾患全般の研修を修了されていることもあり、個人的に収集されたデータをもとにアルバータ州に住む私たちが新型コロナウイルスにどう対応すればいいのかを丁寧に解説され、両会は好評に終わった。5月30日のカルガリー講演の内容を掻い摘み、さらに館野さんのご協力のもと補強した情報を今回Q&Aとしてジャパナビ読者に改めてご提供したい。


一番重要な予防法は何ですか?
 口を酸っぱくしてでも言いたいのが石鹸を使って20秒以上の手洗いを頻繁に行うこと。きちんと泡立つ普通の石鹸で構いません。手洗いはウイルスを洗い流すと共にウイルスの膜を壊します。手指消毒用アルコール(含有度70%以上のもの)も同じく有効です。なお日常生活に関しては手袋着用よりも手洗いの方がより有効な予防法です。

マスク着用は有効ですか?
 コロナウイルスに感染しても最初の数日間から一週間程度は症状が出ないことがあり、その間は知らずにウイルスを拡散している可能性があります。マスク着用は周囲の人を守るため、そして自分の口や鼻を直接触ることを少なくするためにお勧めします。マスクを取る際には外側にウイルスが付着しているとの前提で注意して取り扱いゴミ処理してください。布マスクは石鹸での手洗いや洗濯でウイルスが除去できます。

コロナウイルスの検査で感染していないとの結果が出れば安心できますか?

 残念ながら現時点で検査の正確性は100%ではありません。感染者を検査して陽性と出る確率は70〜90%。陽性で出てもウイルスの残骸を検出しているだけで人に移す可能性のない場合や、陰性と出ても実際には感染している場合もあります。

一度感染してしまえば抗体ができるから再感染する心配はないのでは?
 そうとも限りません。他の病気でも同じですが、抗体があっても感染することは多々あり、そして人に移す可能性もあります。ただ抗体があれば再感染した際に軽い症状で済む可能性は多分にあります。コロナウイルス感染者の15〜20%は肺炎など重症化して入院、2〜3%ほどが死亡してしまうことを考えると、抗体を得るためにわざと感染することはお勧めしません。

どのような治療法がありますか?
 解熱剤投与や人工呼吸など症状を緩和する方法はありますが、ワクチンや治療法はまだ開発中で有効性が確立された方法はありません。自宅で療養する場合は、Tylenolなどアセトアミノフェンの入った解熱剤を服用するとともに、かかりつけのファミリードクターやウォークインのドクターなどの指示を受けてください。

ものの表面についたウイルスはどれくらいの期間残留するのですか?
 印刷物やテッシュペーパーには約3時間、布や加工木材(木のテーブルなど)には約2日間、ガラスや紙幣には約4日間、そして、ステンレスやプラスチックには約7日間その表面にウイルスが残留するとの調査結果が出ています。医療用マスクに付いたウイルスは7日以上経っても残留しているそう。お買い物の際はキャッシュレス支払いが賢明です。なおウイルスはわずかであれば体に入っても感染しないため、体内に取り込むウイルスの数をなるべく抑えるという観点から、表面の完全な消毒ができなくても水拭きするだけでも効果はあると考えられます。

コロナウイルスの感染しやすい人・重症化しやすい人は?
 感染して重症化するリスクが高いのは高齢者、糖尿病患者、喫煙者、呼吸器関連の病気を持っている方、そして免疫力を下げる作用のある薬を飲んでいる人です。降圧薬を飲んでいると感染しやすくなるかどうかも、まだわかっていないので服用を続けるべきでしょう。感染して重症化した時に必要になるファミリードクターの連絡先や内服薬一覧、また常用薬などを多めに用意するなどの事前準備が賢明です。糖尿病にかかっている方は、血糖値が上下することがありますので、注意が必要です。また、喫煙されている方は、禁煙されることを推奨いたします。

アルバータ州の現状はどのようなものですか?
 アルバータ州で確認された感染者数は6月中旬時点で7,300人を超えました¹。広い州内のどこで感染が起きているかというとカルガリー周辺地域が圧倒的に多く、全体の約70%を占めています。次に多いのは州南部(約15%)です。同じ都会でもエドモントン周辺地域では感染が少ないこと(約10%)の理由にカルガリーには国際空港があり、米国境にも近く全体的に人の出入りがより激しいこと、そして老人ホーム等での集団感染が確認されたこと、そして州南部に関しては食肉加工工場での集団感染があったこと等が挙げられます。なお州内で感染が確認された人の年齢を見ると30〜40歳代が最も多くなっています。

子供への影響は?
 アルバータ州を含め、これまでのところ、子供の感染率は少なく、子供の重症化率も少ないです。今後、学校やデイケアの再開に伴い、子供の感染例が増える可能性はあります。再開時には施設からの指示を守ってください。また公園の遊具で遊ばせる際には、感染予防のための手洗いや手指の消毒をお勧めいたします。なお川崎病に似た病態を呈する重症ケースが稀に見られており注意が必要です。小児喘息の合併症を持つ場合は、同居者がコロナウイルスに感染してその子供に移さないように細心の注意を払うべきです。また子供の予防接種(麻疹など)はスケジュール通り受けさせるべきかについては、政府が無料で提供しているものはその病気にかかると命を落としたり合併症を引き起こして長期的ダメージがある可能性があるものばかりですので、健康である限り予防接種は定期的に受けさせることをお勧めします。

妊婦や胎児への影響は?
 妊娠中の感染による胎児への影響についてはっきりしたことはまだわかっていませんが、影響はかなり低いと言われています。妊婦の場合も十分なデータがなく、感染した妊婦の早産などの例は一部で報告されていますが、現時点で感染や重症化リスクが高いとは言われていません。なお感染した母親が授乳を行う場合は、授乳中に咳をするなど赤ちゃんが飛沫感染する可能性を考慮して、直接的な授乳は避け、清潔に搾乳を行って与えるかミルクに切り替えることを勧めます。感染した母親の母乳にコロナウイルスが含まれているという調査結果は、これまでのところ報告されていません。

もしコロナウイルスに感染したと思ったらどうすればいいですか?(アルバータ州の場合)
 感染した人の70〜80%は風邪の症状(高熱、咳、息切れ、鼻水、喉の痛みなど)が出るだけで回復します。重度の呼吸困難に陥るなど重症でないのであれば、市販の解熱剤や風邪薬を必要に応じて服用し自宅で療養してください。症状が出始めた日から10日間もしくは完全に症状がなくなるまでの、いずれか長い方の期間中自宅で隔離することが義務付けられています。重症化の心配がある方は、ファミリードクターもしくは州政府の無料医療電話相談所ヘルスリンク²(811)をダイヤル)に電話して指示を仰いでください。緊急に助けが必要な場合は911へ電話して指示を仰いでください。事前電話なしにファミリードクターや病院に出向くことや、症状があるのに公共機関を利用することは避けましょう。なお州政府のウェブサイトにはコロナウイルス自己診断ツール³も出ているので利用してみて下さい。

検査は受けられるのですか?(アルバータ州の場合)
 症状の有無に関わらず、全てのアルバータ州民がコロナウイルス検査を受けられます⁴。上記の自己診断ツールの最後に検査のオンライン予約画面が出ます。予約から検査までの過程をわかりやすく説明するビデオ⁵もあるので見てみてください。アルバータヘルスケア番号のない場合や自家用車で検査場に行けない場合は811にまずご相談ください。

アルバータ州の医療機関は今後第2波・3波が来ても対応し切れるのでしょうか?
 アルバータ州は国内でも準備体制がより整っている州で、現に手袋などの医療用品をそれらが不足している他州に送ったほど十分な在庫を持っています。第2波・3波への対応も十分可能な医療体制のキャパシティーを有していると私は判断しています。

 この記事は2020年6月中旬の情報に基づいた内容です。なおこの記事は一般的な参考情報の提供を目的にしたもので、内容の完全かつ正確な記述に努めていますが、皆様がこの記事を利用したことにより被ったいかなる損害についても、ジャパナビと館野透氏は一切の責任を負いませんことをご了承ください。
取材・文/じゃぱなび編集部

注釈
1. 最新の数字はこちらから。https://www.alberta.ca/covid-19-alberta-data.aspx
2. https://www.albertahealthservices.ca/assets/healthinfo/link/index.html#top
3. https://myhealth.alberta.ca/Journey/COVID-19/Pages/COVIDSelf-Assessment.aspx
4. Symptoms an Testing | Alberta.ca
5. https://youtu.be/2PFT4KHWsWQ











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