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2020 October - 知っておきたいカナダの法律

事実婚・同棲カップルが別れた時のお金の話 Part 2
文/東谷陽子 Barr Picard Law 弁護士

 2020年7月号掲載の前回述べたように、2020年1月1日から以下に関する法律が変わりました。
(1)事実婚をしている人が別れた時の財産分与
(2)結婚をしていない親同士の間に生まれた子供の養育費

 今回は(2)の養育費に関する法律の変更について説明し、一般的な質問にも答えます。

 結婚しているカップルが離婚する際、子供が勉学、病気、障害などの理由で親の扶養から抜けられない場合や自活できない場合、その子供の養育費の支払いが発生します。勉学の場合、一つ目の学位をとるまでか22歳になるまでのどちらか早い時点まで支払われるのが通常です。誰がいくら養育費を支払うのかは、親の収入や子供がどちらの親と同居するのかなどを考慮して算出されます。
 他方、親が婚姻関係を結んでいなかった場合、今年改正以前の法律では、子供がフルタイムで大学に通学している場合のみ、22歳まで養育費の支払いが義務付けられていました。つまり結婚した親に生まれた子供と結婚していない親に生まれた子供とでは扱いの差があり、子供は親を選んで生まれてくるわけではないので、これは差別だと批判されていました。
 今年改正された新しい法律では、結婚していない親の間にもうけられた子供の場合でも、離婚カップル同様の養育費支払いが義務付けられるようになりました。「結婚していない親」には、事実婚はもちろんのこと、結婚に至らなかった全てのケースが含まれます。

事実婚Q&A
Ⓠ「一緒に住んでいなければ、事実婚にはならない?」
Ⓐ 前回、相互依存関係の定義の一つに「生活の場を共用している」ことを挙げましたが、これは必ずしも一緒に住んでいなければならないわけではありません。例えば片方がフォートマクマレーで働いていて、もう一人がエドモントンに住んでいたとします。仕事のために別々に住んでいても、週末は一緒に暮らして金銭的にも精神的にもお互いにカップルとして依存しているのであれば、相互依存関係にあるとみなされる可能性があります。

Ⓠ「これからは、結婚も事実婚も別れた時の資産分与の条件は全く同じ?」
Ⓐ アルバータ州の法律が変わり、事実婚とみなされれば、結婚しているカップルと資産分与の条件はほとんど同じになりました。ただ事実婚とみなされるためには、3年間以上相互依存関係にある必要があります。(子供がいなく、「Adult Interdependent Relationship Agreement(相互依存関係にある成人間で結ばれる合意書)」を結んでいない場合です。詳しくは前号をご参照ください。)他方で婚姻しているカップルならば結婚して3年間未満で破局しても、婚姻関係間に築き上げた財産は半分ずつ分けられるので、その点は異なります。例えば、もし結婚していないカップルが家を一緒に買って住んでいても、3年間未満で別れた場合、事実婚にはみなされないため以前のように、裁判官に財産分与の権利があることを証明しなくてはいけません。

Ⓠ「一緒に住んでいる期間がもっと短くても事実婚とみなされると聞いたけど?」
Ⓐ ややこしいのですが、カナダでは各州、そして国の政府がそれぞれ独自の法律を定めているため、場所によって事実婚の定義が異なります。今回はアルバータ州の法律の説明をしました。前号にも書きましたが、アルバータ州の法律では「Common-law」という言葉を使わず、「Adult Interdependent Partner(AIP)」という言葉を使いますし、AIPになるためには前号に書いたような条件を満たす必要があります。国の法律である所得税の確定申告(Income Tax Return)や国民年金(Canada Pension Plan)では事実婚を指すのに「Common-law」という言葉を使いますが、「Common-law」の定義はまたアルバータ州のAIPとは若干異なり、一年間以上婚姻関係に似た関係が続いていれば「Common-law」にみなされます。






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