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2020 SKYT - 知っておきたい、永住者カードの更新のこと

永住者カードの更新、準備はいつから?
 永住者カード(Permanent Resident Card=以下PRカード)更新の申請は、いつ頃始めるのがいいのでしょうか?近年カナダポストでは郵便配達の延滞が多々あり、普通郵便を使ったPRカード更新手続きに予想以上の時間がかかり、旅行の予定を延期された方が多くいらっしゃいました。家族の病気や事故など、予期しない事情で止むを得ずカナダから緊急出国する場合でも、カナダへ再入国する際には有効なPRカードを持っていなければいけません。
 2020年1月1日時点でカナダ連邦政府ウェブサイトには、PRカード更新申請にかかる日数は24日間と出ており、昨年と比べると随分短縮されています。カナダ移民局は2019年から移民、学生ビザ、就労ビザ、ワーホリの申請に関して、指紋や顔写真の生体認証制度(Biometrics)を導入しています。移民局は諸手続きのルール改正を頻繁に行っており、現在のこうした状況を踏まえると、PRカードの更新準備は早めに行うに越したことはないでしょう。
 では、いつ頃から申請が可能になるのでしょうか?カナダ政府のウェブサイトには、有効期限から9ヶ月(270日)を切るまでは申請しても戻されるので、申請しないようにとあります。有効期限の1年ほど前からウェブサイトで申請に要する日数を確認して必要書類を用意し始めておけば、余裕を持って申請の準備ができるはずです。

万が一、日本からの再入国時にPRカードが失効していたら?
 有効なPRカードなしにカナダに再入国する方法として、永住者渡航書(Permanent Resident Travel Document)の取得があります。これは、東京のカナダビザ申請センター(Visa Application Centre)で申請可能です。永住者渡航書の申請条件は以下の通りです。
•永住権を取得している
•有効なPRカードを持っていない
•カナダ国外にいる
•カナダに飛行機、ボート、電車、バスで入国する
 申請にかかる日数は10日〜1ヶ月間が目安とされていますが、あくまでも目安であり、その期間内に審査が終了して渡航書がもらえる保証は一切ありません。更にパスポートを含む申請書類はマニラのビザオフィスに送られ審査されるため、審査中はパスポートさえ手元になくなるため注意が必要です。

日本とカナダの行き来に関するお役立ち情報
 エアカナダに限り、日本からバンクーバー経由でカナダ国内他都市へ乗り継ぐ際、バンクーバーで荷物ピックアップの必要がなくなりました。バンクーバーでの入国審査後は、セキュリティーチェックのみで次のゲートまで移動できますので、お体の不自由な方やお子様とのご旅行の場合は便利です。ANAやJALはバンクーバーで荷物ピックアップの必要があります。
 なお個人的な話ですが、2018年12月に帰省し成田空港から入国した際、日本のパスポートに帰国のスタンプが押されませんでした。免税の買い物への影響を懸念して入国審査官の方にお願いしたところ、スタンプを押してもらえました。この出入国の記録はPRカード更新の書類を書く際にもとても役立つためスタンプは必ずもらいたいものです。また旅行中のトラブルを上手に避けるために、使用済みの搭乗券は日本到着後も棄ててしまわずに、必要があれば出せるように保管しておくのがお勧めです。
*上記は2020年1月1日時点の情報です。


佐藤由美子 日本トラベル マネージャー
http://nippontravel.ab.ca/

PRカードを更新中に日本に帰国したA子の体験談
陸路でカナダ入国編

 2018年5月、ある行事に参加するため日本に帰国した時の話である。楽しい12日間を日本で送り、いざカナダに帰ろうと成田空港でチェックインをした時、「PRカードがないと搭乗手続きが出来ません」。航空会社の職員は淡々と、つまり「あなたを飛行機に乗せられません」と言ったのだ。
 この時、私のPRカードは更新申請中。出国前に60日間で処理されると思っていたのだが、90日を過ぎても発行されず、期限切れのまま出国していたのだった。カードがなくて再入国が出来なかった人の話は聞いていたが、少し安易に考え過ぎていたのかもしれない。出発前に移民局に問い合わせ、有効なPRカードがなければ日本から「トラベルドキュメント」を申請することができるとは聞いていたが、発行日の保証がないままパスポートを含めた申請書類をマニラに送る気にはなれなかった。(ちなみに電話ではマニラに直接申請するように言われたが、現在では東京のカナダビザ申請センターで申請可能らしい。)或いは、アメリカから陸路で個人入国する場合は、移民であることの証明ができれば、PRカード所持は必要ないとのことだった。
 搭乗を拒否された後、エアカナダにシアトル行きに変えてくれるように頼むと、シアトル行きはバンクーバー乗り換えのため、カナダのビザ(ETA)或いはPRカードが必要ですと断られてしまった。観光ビザは移民権を有している場合は、申請すら出来ない。それは当前なのだが、私がカナダに帰れないのは、カナダ在住が証明されているから帰れないと言われているような気がした。なんだか変な話だ。

アメリカ陸路からカナダ再入国
 結局、成田空港まで送りに来てくれた友人がとりあえず東京に戻ろうと誘ってくれ、その日はまた泊めてもらうことになった。ほぼ半ベソ状態でいると、同じ行事に参加していた友人の奥さんもやはりPRカード不所持の為、搭乗を拒否されたと連絡が来た。彼女も一人取り残され、アメリカ陸路での旅を模索していた。こうなったら、一緒にアメリカ経由で帰る計画を立てるしかない。
 幸い、私の義姉は国境に近いカナダ側の町に住んでいる。連絡を入れてみると、国境から間もないアメリカのべリングハムまで迎えに来てくれるとのこと。もうこのご厚意に甘えるより他にカナダに再入国する術はなさそうである。バスか何かで一人で国境まで行けたとしても、個人入国でなければいけないため、トランクをゴロゴロ引っ張って歩いて国境を越えなければならない。そんな中年女性、怪し過ぎる。決めた。取り残され組二人、陸路で帰るのだ。
 しかし、日本からアメリカ経由(陸路)カルガリー行きは思ったより遠かった。
 航空券の予約の関係で友人とは別の便となり、シアトルで待ち合わせることにした。私の便は羽田発サンフランシスコ経由シアトル行き。アメリカに片道切符で問題なく入国できるのか少々不安があったものの、とにかく行くしかない。羽田でやけっぱち気味に餃子を食べ、いざサンフランシスコへ。アメリカ入国審査である。シアトル行きの目的を聞かれ、カナダに行くことを伝えると、一泊も滞在しないのかと聞かれた。素敵な街をただ通過するなんて悲しいと一瞬思ったが、「滞在しません。カナダ行きのバスに乗り換えます」と答えた。すると「バスは何時だ?」と、さすがアメリカ入国審査官。しつこい。私は自信満々に「3時!」と答え、入国審査完了。バスの予約を入れておいて良かったと思いながら、シアトル行きの便に搭乗。
 シアトルの空港に到着後、すでに到着していた友人と合流!ちょっと緊張感が緩んだ気がした。小腹が空いてクラムチャウダーでも食べようと思ったら、チリしかなかった。気を取り直して友人と二人でバスを待つ。シアトル空港からべリングハム空港までは、バスで3時間。乗り心地は悪くないが、なにやってんのかなと思ったりもした。午後6時過ぎ、べリングハム空港に到着、義姉が待っていてくれた。ここから義姉宅まで、田舎道をさらに車で1.5時間。義姉に会えて安心したものの、途中、カナダ入国審査が待っている。
 車が国境に近づいてきた。心の準備をし、義姉に長丁場になるかもしれないと予めお詫びを入れ、いざ入国審査。義姉が、私たちのパスポートも合わせて、車窓から、審査官に渡すと、審査官にPRカードの提出を求められた。ドキドキしながら事情を説明すると、期限切れのカードを要求される。友人も準備していた書類をすべて提出。すると、「オッケー、ハバナイスデー」と入国審査完了。なんだ、ずいぶんあっさりじゃないか!ドライブスルーじゃないか。
 義姉宅に着いたのは夜8時過ぎ。気が抜けた感じがしたが、まだカルガリーには帰れない。この日は泊めてもらい、翌朝またアボツフォード空港まで送ってもらい、午前9時45分のウェストジェット便に搭乗。上空からカルガリーが見えたときはかなりうれしかった。お昼頃にカルガリー到着。自宅に着いたのは午後1時半くらいだった。東京の友人宅を出てから、実に40時間かかった計算になる。
 たくさんの人に心配をかけて、御礼を言い尽くせないほどお世話になって、やっと帰ってこられた。旅行からカルガリーに帰ってきて、こんなにうれしいと思ったことはない。
 PRカードはカナダ政府発行の身分証明書、パスポートのように扱えということだろうか。だったら申請から発効までの処理期間ももう少しどうにかならないものかと思う。

PRカードを更新中に日本に帰国したさおりの体験談
永住者渡航書でカナダ入国編

 私のPRカードは2018年11月初旬に期限切れだったため、9月末に更新の申請書類を用意して送りました。ところが11月末に身内の突然の不幸に見舞われ、葬儀のため急遽日本へ帰国することに。そして日本へ着いて2日目のショックと悲しみの真っ只中に、カナダに残してきた主人から、PRカードの更新申込書と必要書類が記入漏れのためカナダの自宅に戻ってきたと知らされました。
 葬儀が済み、まだ実家への弔問客が絶えない中、とりあえず在日カナダ大使館に連絡を試みましたが、電話はつながりません。仕方なく大使館のウエブサイトを見てみると、日本語のサイトでは何も手掛かりが見つからず、英語のサイトをクリックすると「Visas and Immigration-Manila」という項目がありました。東京の大使館ではビザや移民申請などは受け付けておらず、そういった手続きはすべてマニラの在フィリピン・カナダ大使館で行われているという事でした。そしてウエブサイトによると、東京にある「Visa Application Centre(VAC)」という委託業者がこれらの手続きを受付けていることが分かりました。
 ところがそこも当時は電話番号が明記されておらず、問い合わせはインターネットのチャットを通じてのみです。そこで現在PRカードが切れていて、申請中に出国しなければならなかったこと等の状況を説明し、どうすればカナダに入国できるのかを聞いてみたところ、渡航書を申請するようにと言われました。この渡航書とは、正式には永住者渡航書(Permanent Resident Travel Document)という文書で、カナダの永住権保有者であることを証明するものです。

永住者渡航書の申請
 必要書類の一覧や申込書は、そのVACからメールでリンクが送られてきました。過去5年間使用したパスポートの全ページの写しと現在使用中のパスポートの原本、証明写真、過去5年間カナダに在住した証明(住所の明記してある光熱費やクレジットカードの請求書またはIncome Tax やProperty Taxの受領書など)が必要と書いてあり、手元にない物はカナダにいる主人にメールで送ってもらいました。
 永住者渡航書の申請手数料は9,405円と高額。現金書留で送ることができると言われましたが、チャットでしかコミュニケーションのとれない相手に、その金額とパスポートの原本や個人情報を送ることにためらいがありました。何といっても、ネット詐欺の横行している昨今ですから。やむを得ず、東京都港区のVAC事務所に師走の帰省ラッシュの中行ってみると、身分証明の提出やセキュリティチェックを求められ、この時初めて信用できる機関だと確認できました。特に提示を求められた訳ではないのですが、申請が少しでもスムーズにいくようにと、私の場合は亡くなった家族の死亡証明書や除籍の写しと、私との関係を証明するための戸籍謄本とそれらの公式翻訳をしてもらったものを申請書類に添えて提出しました。
 永住者渡航書が貼られたパスポートが戻ってくるまで3週間かかりましたが、お陰でカナダへの直行便に乗ることができ、入国手続きも簡単に済みました。渡航書の申請書類を揃えるのに苦労し、痛い出費にもなりましたが、家族の死というショックから立ち直れていない状態下、一人アメリカ経由陸路でカナダに戻るという賭けをする気にはなれませんでした。
 VACのスタッフとは日本語でやりとり可能なため、質問はしやすかったです。東京までは行けないという方は、パスポートの原本を書類と共にVAC事務所に郵送することができるので、私のようにアメリカ経由の陸路入国のリスクを冒す気になれず、書類を揃える手間や手数料は厭わない方であれば渡航書申請をお勧めします。
 カナダに20年間も住んで税金を払い、2人のカナダ市民を生んで育てているのに、市民権を取得していないとこのような目に合うのかと理不尽に思えましたが、永住者渡航書が届くまでにもっと日数がかかったという人もおり、とにかく無事にカナダの家族のもとに戻って来られただけでも良かったと思わなければならないのかもしれません。多くの方に助けられ励まして頂いたので、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。どうか私のような経験を一人でも多くの方がしなくて済みますように。





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