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2021 July - カナダのお家相談室 夏のメンテナンス編

 家のメンテナンスは一年中何かと必要なものですが、カルガリーではやはり夏、秋に済ませておきたいメンテナンスが多いと思います。簡単だけどつい忘れてしまいがちな事、ちょっと頑張れば自分でもできる事、意外とたくさんあるので是非やってみてください。

1.雨どいの掃除と水漏れチェック
 高所恐怖症の方にはつらいメンテナンスですが、雨どい(gutter)から水漏れがある場合は屋根に登ってゴミが溜まっていないかチェックしてみてください。大きな樹木が家の周りにある場合は定期的に必要になる作業です。雨どいが枯れ葉や松かさなどで埋まってしまうと、大雨や雪解けのタイミングで溢れ出す原因になります。寒い時期は溢れた水が地面で凍って滑りやすくなるのでとても危険です。夏は差ほど気にならないので忘れがちですが、暖かいうちに済ませておきたいメンテナンスのひとつです。
 もし雨どいが汚れていないのに水漏れする場合は、接続部分の隙間を埋めるシーリングに問題がある場合が多いので、雨の日に水漏れ部分を特定した上で、雨どいが乾燥しているタイミングにシーリング剤(sealant)を入れてみてください。ホームセンターに行けばどこでも購入できます。

2.屋根材のチェック
 カナダで最も多く使われているアスファルトの屋根材は、一般的に20年間以上持つと言われていますが、風が強く、大きな雹が降る事も多くなってきたカルガリーでは剥がれてしまう事も珍しくありません。室内の白い天井に茶色いしみが見つかったら、まずは屋根を疑ってください。傾斜が急だったり、2階建ての上の屋根だったりすると危ないので、専門業者に任せた方がいいのですが、屋根材が地面に落ちていることで気づくことも多いので、「自分の家かも!?」と思ったら早めにチェックした方がいいでしょう。このようなケースでは、いきなり水がボタボタ落ちる事は稀で、少しずつ漏れてくるので気づかないうちにダメージが広がってしまいます。

3.暖炉の掃除&煙突チェック
 薪を燃やす暖炉がある場合、メンテナンスが必要になります。暖炉の内側を懐中電灯で照らして、空気の遮蔽版がちゃんと閉まるか、内壁にヒビが入っていないか、すすが溜まりすぎていないかなどはチェックした方がいいと思います。ただ煙突の内部全てを点検、掃除するのは難しいので、見える範囲で問題がありそうならば一度専門業者見てもらう事をおススメします。
 また暖炉を使わない方でも煙突出口周りのチェックは必要です。鳥やハチの巣ができていないか、レンガのつなぎ目にひびが入っていないか、屋根材とのつなぎ目のシーリングが傷んでいないかなど、屋根のメンテナンスのついでに確認しておくと安心です。 ここではしごを使う際の注意!毎年たくさんの方がはしごから落ちて怪我をされています。写真のような羽状の金具が付いたはしごを使い、平坦な地面で利用してください。

4.換気扇の排気口チェック
 換気扇は主にキッチンとバスルームにありますが、換気扇から外壁または屋根へ空気を送り出す排気口部分に必ず付いているのが開閉式の蓋。これは換気扇を利用していない時に冷たい外気が室内に入るのを防ぐのが一番の目的ですが、これがスムーズに動かず開いたままになっていたり、外れていたりしないかチェックするのはとても大切です。ここが開いていると鳥の巣ができて詰まってしまったり、換気ダクトが途中で破れたりする原因にもなります。また冬の間は冷気が室内に入って来たり、結露で生じた水滴が溜まって流れ落ちてきたりする原因にもなります。
 特に屋根に換気扇の排気口がある場合は、一度屋根裏に入ってチェックすることをおススメします。ダクトが屋根の排気口から外れてしまい換気した空気が全て天井に噴出してしまっている場合、屋根がカビだらけになったり、結露した水が大にダクト内に溜まってしまったりする事もあります。

5.乾燥機の排気口掃除
 これをやっている人はあまり多くないと思いますが、放っておくと火事につながる事もあるので是非定期的に行ってください。家庭用の掃除機でもできますが、業務用の強力な掃除機をHomeDepotなどでレンタルすることもできます。屋外の乾燥機用排気口から掃除機のホースだけを中に差し込む事で簡単に掃除できます。これで半分しか届かない場合は、乾燥機を動かしてダクトを外し、屋内からも同じ作業をする必要があります。もし屋内側で自由に形状が変えられるフレキシブルなダクトを使っている場合、より埃が溜まりやすいので1年に1度は掃除することをおススメします。
 ちなみにこのフレキシブルなダクトは、住宅売買の際に行われるホームインスペクションを通らないので、固定形状のダクトに交換できればベストです!その際スクリューを使わず、ダクト用テープだけで接続するのがポイントです。(ダクト内に出たスクリューに埃が溜まるため。)

6.ウッドデッキやフェンスの塗装
 塗装と一口に言っても、塗装する素材によって塗料も方法も変わるので、ここでは木材の塗装について。未塗装の木であればガーデンホースで表面の汚れを洗い流し、十分表面を乾かせば塗装を開始できますが、カビによる黒ずみなど簡単に取れない汚れがある場合は、ウッドクリーナーで一度掃除した方がいいでしょう。表面が漂白されたようにきれいになります。
 建てたばかりの場合は木材の水分含有量が多すぎるので、数か月間待って収縮が収まった後に塗装した方が塗料が木材に良く馴染み長持ちします。防腐剤の入った木材であれば塗装しなくても数年間は腐る事はないので心配いりません。ただ建てたばかりでも切断面にはシール材を塗っておく事をおススメします。防腐剤の入った木材でも中心まで薬剤が入っていない事が多いためです。木材の乾燥スピードを遅らせる事でヒビが入るのを防ぐ効果もあります。
 塗装済木材の表面を再塗装する場合は、一度きれいに塗装を剥がした方が新しい塗料が木材に浸透しやすく、仕上がりもきれいになります。この作業が再塗装の一番大変な部分ですが、薬剤を使う事で効果的に剥がすことも出来ます。

 この薬剤を塗って塗装を浮かせた後に、高圧洗浄機(pressure washer)で掃除するのが一番早く準備を済ませる方法ですが、慣れていない方はブラシなどでこする方がきれいに仕上がると思います。高圧洗浄機は圧力がとても強いので、気を付けないと木材の表面を傷つけてしまうためです。もし全部剥がすのが大変な時は、剥がれかけている塗装だけでもスクレーパーで剥がし、滑らかにやすり掛けをしてから塗装を開始してください。あと、傷んでいる板の交換や飛び出しているスクリューや釘の入れ直しもお忘れなく。
 いよいよ仕上げの塗装になりますが、詳しい塗料選びについては店舗でご相談ください。スプレー塗装はちょっとハードルが高いので、はけとローラーで塗る方がやりやすいと思いますが、気を付けたい事を2点だけ。1回塗った後に必ずしっかり乾かし、2回目を塗る事。あと、表面にヒビ割れがある場合は奥までしっかり塗料をしみ込ませる事です。塗料にもよりますが一般的にデッキや窓枠は3~5年、フェンスや壁は6~8年くらいを目途に再塗装が必要になります。まだ外出や旅行に出にくいかもしれないこの夏、お宅のメンテナンスを夏休みの計画に入れてみてはいかがでしょうか。


文:和楽工房 中原智則

この記事は一般的な参考情報の提供を目的にしたもので、内容の完全かつ正確な記述に努めていますが、皆様がこの記事を利用したことにより被ったいかなる損害についても、ジャパナビおよび筆者は一切の責任を負いませんことをご了承ください。






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