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2018 April - 教えて、陽子姉さん!知っておきたいカナダの法律

 ところ変われば法律変わる。日本の常識や思い込みは、カナダの法律にそぐわない場合も多々ある。そこでエドモントンの弁護士、東谷陽子さんを回答者に迎え、読者からの質問を募ってみた。

質問1)日本で結婚しましたが、カナダで婚姻届けを出していません。カナダで離婚できますか?
 カナダは日本の法律を認めているので、日本で結婚していればカナダでもその結婚は認識されます。ただ日本と違い、カナダでは本人同士が離婚に同意していても、裁判官が「離婚をしてもよい」と認めなければ離婚ができません。このため住んでいる州の裁判所に離婚を申請するのですが、手続きを始める時点でその州に配偶者のどちらかが過去一年間以上住んでいる必要があります。二人が同じ州に住む必要はありませんが、もし二人とも州を越えて引っ越しすると、引っ越した先の州に一年間以上住まなければ離婚手続きを始めることができません。
 この居住州に関する条件を満たした上で、さらに以下の状況に最低一つ該当していればカナダでも離婚できます。
a.一年間以上の別居
b.不貞行為
c.精神的もしくは肉体的虐待
 カナダでの離婚は日本でも認められます。他方、カナダで認められていない法律に基づいた結婚は合法の結婚として認められないので、その場合は離婚もカナダではできません。例えば、アメリカの一部では重婚が合法ですが、カナダでは重婚は違法です。そのため、重婚をしている人の一つ目の結婚は認められてカナダでも離婚できますが、二つ目以降はカナダでは離婚ができません。

質問2)私の配偶者の浮気が原因で離婚することになりました。親権と慰謝料はどちらにありますか?
 カナダは “No Fault Policy” という概念に則っているため、不貞行為があっても、親権・養育費・配偶者への生活援助(spousal support)・資産分与には全く影響しません。“No Fault Policy”とは「どちらの配偶者に離婚の非があるかは関係ない」という考え方です。例えば親権は、「子供にとって何が最善か」ということだけを念頭に決められます。「不貞を働く人は良い親ではない」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、カナダの考え方では不貞は親の間の問題で、子供にとって良い親であれば親権には影響しません。驚かれるかもしれませんが、配偶者を虐待するような人でも、子供に虐待をしないのであれば子供に面会が許されるのがカナダです。
 慰謝料についても先ほども言ったように“NoFault Policy”なので、「浮気をしたから慰謝料」という概念自体がありません。基本的に片方の配偶者の収入がもう片方よりも多ければ、多い方が少ない方に生活費を払うことになります。泣きっ面に蜂のようですが、浮気をされた人が浮気をした人に生活費を払う結果になることもあります。昔はカナダでも浮気した人が慰謝料を払うこともあったようです。しかし「不貞」の定義はなんだとか、どちらが先に不貞を行ったとか、そのようなことを決めるまでに多大な労力をかけていたので、その無駄を省き、割り切って誰が悪いかは追求しないことになりました。合理的です。

質問3)カナダは同性婚が認められていますが、日本では認められていません。カナダに来て結婚した同性愛カップルの離婚は、同じようにカナダですればいいのですか?
 カナダで同性婚をしても、日本では同性婚が認められていないので日本で離婚することはできません。カナダでの離婚は可能ですが、日本にいつも住んでいる人がカナダに来て同性婚をして日本に戻った場合、前出の「同じ州に過去一年間以上住んでいる」という条件を満たさないため、カナダでも日本でも離婚ができないことになります。
 この居住州に関する条件はカナダで結婚しても、日本で結婚しても同じく当てはまります。カナダ人でカナダに何十年間住んでいても、離婚を始める前に別の州に引っ越すと、離婚を始められるようになるまでまた一年待たなければいけなくなります。
 この条件を破棄して法律を改正しようという動きが過去にありましたが、そうすると離婚するためだけにカナダに来る人が出てくるかもしれないし、住んでもいないのに自分に都合のよい法律のある州で離婚を始めたりするかもしれないと危惧されたので、どうやら今のところ保留になっているようです。結婚は住んでいなくてもできるのに、離婚は一年間以上同じ州に住まなくてはできないとは興味深いですね。

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japanabinfo@gmail.com

東谷陽子 (あずまやようこ)
Barr Picard Law パートナー弁護士
 遺言や遺産分与、家庭に関係する法律を主に、離婚や事実婚の破綻に伴って生じる、サポート、養育費、親権、そして財産分与などの幅広い問題を取り扱う。




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