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2018 April - 巷で大人気 和牛とWAGYUのお話

 アンガスビーフ然り、熟成肉然り。数年毎にブームがやってくる牛肉ですが、今、巷では和牛が話題沸騰中。そんな和牛の小話を一つ。
 こちらのレストランや食肉店でカナダ産「WAGYU」を見て「外国産なのになぜ和牛?」と疑問を持たれた読者の方も多いはず。そもそも「和牛」とは黒毛和種、褐色(あかげ)和種、無角和種、日本短角種、これら日本固有の食肉専用4種(またはそれら間の交配種)の品種名を指し、日本国内では牛トレーサビリティー制度と呼ばれる国内ルールで厳格に管理認証された固体のみが「和牛」を名乗ることが許されます。単に原産地が日本であれば良い訳ではないため、日本産であっても上記種類以外であるホルスタインや交雑種は「和牛」ではなく「国産牛」と呼ばれます。つまり「和牛≠国産牛」なのです。
 育てるのに時間と手間の掛かる和牛は他の牛のように大量生産できません。国産和牛は成長過程で牛にストレスがかからない様、そしてコストが余分にかかっても美味しい肉牛を育むという使命のもと、沢山の手間暇と愛情をかけ飼育されています。
 一方カナダ(外国)産和牛とは、日本固有和牛種のDNAをカナダで交配してカナダで生まれた牛であり、云わば牛肉版日系ハーフ2世3世のようなもの。つまりカナダでは「和牛種DNAが入ったカナダ牛」がWAGYUに分類され、高級牛肉として流通しているのです。厳密にいえば、WAGYUは日本国内では和牛の条件を満たしておらず、単なる「外国産牛」として分類されます。このため、日本国内には外国産和牛なるものは存在しません。
 和牛の一番の魅力は「サシ」または「霜降り」と呼ばれる脂の旨味からくる甘味です。等級表記でA4やA5と分類されていますが、これはあくまで「サシ」の量による分類表記で、品質の良し悪しという意味ではありません。すき焼きには旨味(脂)が多いA5が合いますし、ステーキにはA4クラスの方がバランス的に優れています。料理によって適する等級が変わってきますのでA5が必ずしも最高という事ではないのです。  アニメキャラクターに例えるなら、旨味で優しく濃厚に包み込む感じがまるで艶っぽいメーテルのような、それが和牛。ではWAGYUはというと、肉本来の旨味や食感のメリハリをより感じる、華やかなんだけど肉食系の峰不二子。お互いに甲乙つけがたいこの勝負、あなたの好みはどちら?

文 鷹川弘
撮影協力 Goro + Gun




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