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2019 October - 解説 ウーバーとエアービーアンドビー

 インターネットの普及により、旅に出るのがずいぶん便利になりました。旅行会社に足を運ばなくても手元のデバイスから航空券が買え、世界のありとあらゆる宿泊施設の予約ができてしまいます。せっかく旅に出たのだから思う存分楽しみたいけれど、予算は最小限に抑えたい。今回はそんな願いを叶えるウーバー(Uber)とエアービーアンドビー(Airbnb)という二種類のサービスについてご紹介します。

ウーバーってどんなサービス?
 ウーバーは、2009年にサンフランシスコで始まった配車サービスで、現在では世界70カ国・450都市以上で展開しています。ドライバーは主に一般人で、空いた時間に自家用車を使ってタクシー業務を行います。配車から支払いまで、利用者はすべての手続きをスマートフォンのアプリ内で済ませます。このアイデアは、創業者が街でなかなかタクシーを捕まえることができなかった時に閃いたのだとか。因みに、社名の『Uber』は「超」や「スゲー」という意味のスラングに由来します。利用者はアカウント登録したアプリから目的地を指定するだけで、複雑な道のりの説明をする必要もなく、知らない土地でも迷わず、事前に示された道のりを辿って目的地まで送り届けられます。利用料金は時間帯や配車可能台数によって変動しますが、ほとんどの場合、タクシーよりも割安です。支払いはクレジットカード、デビットカードまたはペイパル決済で、降車するとすぐに領収書がスマートフォンへ送られてきます。チップも車を降りてからスマートフォンなどから任意で支払うことが可能。つまり、車内でいっさい金銭のやり取りがありません。このシステムのおかげでこれまでのタクシー利用で上がっていた「領収書が発行されない」、「タクシーメーターを倒さない」、「わざと遠回りするなどして法外な金額を請求される」、といったトラブルが回避できるようになり、ウーバーの人気は一気に高まりました。

ウーバーの問題点
 その一方、およそ5700万人の顧客およびドライバーの機密情報の漏洩、ならびにその事実の一年以上の隠蔽、ウーバー社内におけるセクハラ告発のもみ消し、他社の営業秘密の盗用など、経営体制の問題が指摘されています。また、タクシー業界からの反発、規制当局から営業禁止命令を受けるなど、一部の国や地域では進出、発展が困難になっています。
 どこからでもドアツードアで利用できると言っても過言ではないウーバーですが、空港や大型施設では、ピックアップポイントが定められています。なお、カルガリー空港の場合、ピックアップポイントが到着ゲート階ではなく、出発ゲート階に設定されています。なお目的地までの道のりに二か所まで経由地を追加できるようになっているので、友達を違う場所でピックアップしたり、小さな買い物も合わせて済ませたりといった利用も可能です。ウーバーの利用は、旅先に限ったものではありません。地域によってはタクシーの半額以下の料金で利用できるウーバーのおかげで、「ホームパーティに呼ばれて車の運転係がちびちびと水を飲んで過ごす必要がなくなった」と喜ぶ利用者もいます。

民泊のサイトの一つ、エアービーアンドビー
 エアービーアンドビーは、一般人が提供する空き部屋、空き家などを宿として利用するサービスです。2008年8月にアメリカ、サンフランシスコに設立された会社で現在192カ国・34,000の都市で80万軒以上の宿が登録されています。会社名『Airbnb』は、創業者ふたりが、自分たちのアパートにエアーベッドとブレックファーストを提供して宿泊者を迎えたことに由来します。宿の予約は、こちらもまずサイト上にアカウントを作成し、宿泊地と期間を検索、部屋タイプを選んで完了。予約方法には、すぐに予約が確定する「今すぐ予約」と「予約をリクエスト」してホストの回答を待つ方法の二種類があります。部屋の種類は個室、ホストや他の旅行者と共有して利用するシェアルーム、一棟貸しの三種類に分類されていますが、物件の内容は一般的なアパートや一軒家にとどまらず、トレーラーハウス、キャンピングカー、ツリーハウス、京都の伝統的な町屋、ヨーロッパの古城、小さな島を借り切ってしまう!なんてことも夢ではありません。

エアービーアンドビーの利用方法
 チェックイン時刻や鍵の受け渡し方法などは、ホストと直接メールのやり取りで確認することになります。またその土地ならではの現地ツアーやアクティビティーを提供しているホストもいます。ホテルでは味わえない『暮らすように旅をする』ことが魅力となっているエアービーアンドビーの特徴を生かして、一か月ずつ宿を渡り歩いたり、ワーキングホリデー中の物件を探す拠点にしたりなど、利用方法も多様化しています。実際にシェアルームに宿泊した利用者は、「ホテルよりも部屋を広く安く使えた」、「ホストから現地の様子を聞くことができた」と好印象を語ってくれましたが、ホストや他の利用者とバスルームが共有だったので、ビックリすることもあったとか...。旅の概念さえ変えつつあるエアービーアンドビーもまた、ホテルおよび宿泊業界からの強い反発を受けており、さらに一般の住宅に見知らぬ人間が多く出入りすることによって、住環境が乱されると訴える地域もあり、様々な法律に抵触するという観点から規制強化が叫ばれています。

相互評価のシステムという共通点
 以上、紹介した両社に共通しているのは、サービスをする側もされる側も評価されるという点です。この相互評価のシステムによって、利用者がより快適にサービスを選べるばかりではなく、サービスを提供する側も評価をもとに不正、悪質な利用者を拒否することができます。サービス基準が両社のポリシーと相互評価によって担保され、簡潔明瞭なシステムによって、従来のタクシーやホテルよりも安全に利用できるようになったと言われる両社のサービスですが、まったくトラブルがないわけではありません。過剰請求やキャンセル料等の金銭トラブル、リスティングと異なるサービス条件の提供、性犯罪の発生などが報告されています。あくまでもサービスを提供しているのは人間です。レビューで高評価を得ているドライバーや宿泊先を選ぶ、Web上の記録を残しておくなど、万が一に備えることをお勧めします。また、トラブルに遭った場合は、速やかに運営会社へ問い合わせ、返金、代替サービス等を依頼しましょう。

文:山上美香






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